年度末に近づいている、この時期;
英国国営医療サービス (NHS) の従業員たちには、上司からの「有給休暇を消化して」との、絶え間ない(脅迫じみた)警告が来る。
私には、現在、年間33日の有給休暇が与えられている。その上、当直勤務で時間外に働くことで、その代休も定期的に上乗せされる。その結果、ここ数年、毎年累計約6ー7週間ほどの休みとなっている。
で、まだ消化しきれていなかった有給休暇が数日あったことを指摘され、先週、無理やり休みを取らされた。
英国国営医療サービス (NHS) 勤務の者は、有給休暇を100%取ることが必須となっています。その理由は、以前のエントリ(⬇︎)にも少し書きました。
あまりにも急に決まったため、具体的な行き先のある休暇の計画を立てられず。。。。
何の当てもなく、ここ(⬇︎)へ行くことにした。
去年の5月にも訪れた、英国南部の海辺の街です。
前回訪れた時の記録はこちら(⬇︎)からどうぞ
で、最初は観光者らしく、この街のシンボルでもある浅瀬桟橋(写真下⬇︎)内にあるカフェで、アフタヌーンティーなどをして楽しんでいたのですが、
1−2日経ったら、次第に飽きてきた。
私、自分で言うのもなんだけど、典型的な仕事中毒人。やることがないと放心状態になり、かえって体調が悪くなる。
で、この休暇を何とか建設的なものにしようと考えたところ。。。。
やはり「薬局巡り」でしょ
と(笑)
この街、現役を引退した、比較的裕福なご隠居さんが多く住む街として知られている。
だから、買い物天国。年金の使い道である「ビッグ4」と呼ばれる、英国の4大主要スーパーマーケットが、滞在している場所の至近距離に「全て」あることに気づいた。
という訳で、今回のエントリは「英国の4大スーパーマーケット内の薬局・薬局コーナーを訪れてみた」記録です。
ちなみに英国では、巨大スーパーマーケット会社のほとんどが、薬局事業を有しています。例えれば、日本の「西友」「イオン」「イトーヨーカ堂」といった所が全て、薬局事業を直営もしくは提携運営しているという状況。
まず最初に訪れたのは、こちら。
英国スーパーマーケット第4位の「モリソンズ (Morrisons) 」(写真下⬇︎)
英国4大スーパーマーケットの中で、ここだけ、薬局事業を有していない。
でも、その代わりとも言うべく、一般薬 (GSL) (=薬剤師不在でも購入できる医薬品) 棚の品揃えが最も種類豊富で、美しく陳列されていました(写真下⬇︎)。
英国の医薬品分類の簡単な解説は、こちら(⬇︎)からどうぞ
よーく観察したら、こんな薬(写真下⬇︎)も売られていた。
それから、英国で最近発売されたばかりであった「去痰咳止め」(写真下⬇︎)もいち早く入荷していました。
次に訪れたのは、ここ。
国内第3位のスーパーマーケット「アズダ (ASDA) 」(写真下⬇︎)
こちら、英国の4大スーパーマーケットの中で、どこよりも「激安」を誇っている(写真下⬇︎)。
そのためか、プライベートブランド(PB) 薬の種類が、特に充実していました(写真下⬇︎)
ちなみに、こちらのアズダ・スーパーマーケットでは、一般薬 (GSL) は、店内のトイレタリー製品の棚と同列に陳列されていましたが、薬局自体は、店内入り口入ってすぐ脇の場所に独立して設置されているというスタイルでした。
英国の薬局では、マラリア予防薬を入手したり、渡航用ワクチンを接種できる所もあります。こちらの過去のエントリ(⬇︎)もどうぞ
それから、こちらへ移動。
国内第2位のスーパーマーケット「セインズブリーズ (Sainsbury's) 」(写真下⬇︎)。
こちらのスーパーマーケットは、以前、薬局を「セインズブリーズ・ファーマシー」という名で直運営していた。でも、数年前、その薬局事業を、国内主要チェーン薬局の「ロイズ・ファーマシー (Lloyds Pharmacy) 」へ売却した。そのため、現在、こちらのスーパーマーケット店内の薬局はすべて「ロイズ・ファーマシー」と名打った看板になっている。
こちらのセインズブリーズ・スーパーマーケット内の薬局と、他のスーパーマーケットの薬局が(明らかに)異なる特徴は、他の売り場との間に仕切りがなく、突如として「薬局」になっていること。だから、薬剤師と気軽に話せる雰囲気が創り出されている。
ちなみに、ロイズ・ファーマシーは、このセインズブリーズ・スーパーマーケット薬局事業の買収により、英国最大手ブーツ (Boots) 薬局と互角に張り合える薬局チェーンとなった。勢いを増したロイズ・ファーマシーは、最近、家庭医院内や、国営医療病院内の薬局事業にも躍進的に参入しています。
そして、最後に訪れたのは、ここ。
国内最大の売り上げを誇るスーパーマーケット「テスコ (TESCO) 」(写真下⬇︎)
こちらのスーパーマーケットは、薬局は、店内の奥まった場所で開局されており、一般薬 (GSL) は、薬局カウンター外の脇の棚に、他のトイレタリー製品などと同列でオープンに陳列しているというスタイルでした。
英国では、今からかれこれ10-15年ほど前、新しい薬局の開局を認可する際に「週100時間以上開局できること」を絶対条件に挙げていた時期があった。
テスコ・スーパーマーケットの薬局事業は、ちょうどその頃から規模を拡大しだした。だから、こちらのスーパーマーケットの薬局はどの店舗も『超』がつくほどの長時間営業。
でも、英国では誰も夜間に働きたくないから、この会社は常に、薬剤師の確保に苦戦している。だから、夕方から閉店までのシフトは、常勤でない外部の薬剤師で廻している場合が多い。
そんな事情から、私が現在勤務するロンドンの病院の薬局スタッフの中にも、病院近隣もしくは自宅近くのテスコ・スーパーマーケット薬局の夜勤シフトで「時給の良いアルバイト」をしている人が少なくない。
日中は「病院薬局」で働き、週の1ー2日の夜間は「スーパーマーケット薬局」で働く。両方の職経験が積めるし、その臨時収入で、薬科大学時代からの学生ローンを返済していたりする。
それから、こちらの薬局では、こんなものも見かけた(写真下⬇︎)
「Complan」とは、英国の医療栄養補給製剤の主流ブランド。食の細いご高齢の方に、栄養士が多用している。一般の薬局で購入できるとは知らなかった。さすが、ご高齢者の多い街ならではの薬局だなと認識した次第です。
英国の地方都市での薬局現地視察、面白かった。
他の街でも、また色々掘り下げて、やってみたい。
では、また。