日英薬剤師日記

イギリスの国営医療(NHS)病院で働く、臨床薬剤師のあれこれ

見知らぬ街の薬局を訪ねてみた。モナコ編

 

この旅行記シリーズは、前回(⬇︎)からの続きです。

 

フィレンツェを発った後、船はジェノバ付近にも停泊したのだけど、前日からの「世界最古の薬局を訪れた」結果の歩き疲れで、その日は、船の中で、一日中ゴロゴロ。

 

そして、次の寄港地は、「モナコ」。

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モナコ到着時、船上からの市街地の眺め

ここ、街中全てがレゴランドのミニチュアのようなおとぎの国だった。とても気に入り、今回の休暇で、ここが、個人的に一番のハイライト。

まず、グレース・ケリーが暮らした大公宮殿(写真下)や、レーニエ3世との結婚式が行われ、かつ、悲劇的な事故死の後、埋葬された大聖堂(写真下)付近を観光した後、「乗り降り自由の観光バス」に乗って、薬局を探すことにした。とてもコンパクトな国のため、バスで国内を一周しても一時間ぐらいだった。地理を把握しながら、めぼしい薬局を車窓から見つけ、後で自分の足で街を歩き、これらの薬局を実際に訪れた、という訳。

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モナコ大公宮殿

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聖ニコラス大聖堂



その結果、今回訪れた薬局は4ヶ所。どうやら、宮殿の付近にも、一軒薬局があったみたいなのだけど、前述の観光バスの運行ルートではなかったので、訪問を断念。

 

1軒目(写真下)は、F1のモナコ・グランプリにも使用される自動車道沿いだった。

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おや? こちらの方(写真下)、ジェンソン・バトン? と思いましたが、違いました(笑)(注:英国人レーシングドライバー、ジェンソン・バトンは、モナコ在住者です。税金対策のためにね)

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後ろに見える、大きな白い引き出しには、全部処方薬が入っている。英国をはじめ、ヨーロッパ圏の調剤は、カレンダーパックの箱単位で行うのが主流なので、薬を、日本のような画一化した小引き出しの薬棚に、一目瞭然にしまえない。だから、このような大き目の引き出しに、薬をアルファベット順に(ごちゃっと)しまっているところが多い。

薬局の窓にはペット系の薬の広告もあった(写真下)。英国もそうだけど、薬局によっては、普通の(人間向けの)薬局で、ペットの薬も扱っている。

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2軒目(写真下)は、「インターナショナル薬局」とあったけど、閉店していた。訪れたの、土曜日の午後だったからね。残念。

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3軒目は、こちら(写真下)。内部は、所狭しと、種類豊富なビタミン剤とか高級化粧品が陳列されていた。世界の大富豪が集まる国だから、このような製品は、ここでは需要も高そう。

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それから最後に訪問した4軒目はこちら(写真下)。実は、3軒目の薬局と道を隔てて向かい合わせ。モナコには、薬局の立地制限がないのかな?

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モナコは、坂が多い。3軒目と4軒目の薬局は、傾斜地(坂道)に建てられていた。

それから、こちらが4軒目の薬局の正面口(写真下)ですが、ホメオパシー薬局も併設されていました。

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で、こちらの薬局、後で調べてびっくりした。現モナコ市長であり、かつ、現モナコ薬剤師会会長 (Georges Marsan) さんが経営する薬局だそうです。薬局と政治をファミリービジネスとしている、代々から続く家系のよう。店内には(写真下。光に反射して見えにくいのですが)、モナコの現君主アルベール2世の写真も飾られ、大公国御用達の薬局であることを示す紋章もありました。

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モナコの薬剤師さんって、どこの国の薬科大学を卒業し、どこの国の薬剤師試験を受けて資格を得ているのかな? という疑問がありました。小さな国だから、薬科大学とかなさそうだし。。。と思っていたら、こちらの現モナコ市長&薬剤師会会長さんも、フランスの薬科大学の卒業だそうです。

ちなみに、英国を含む EU 加盟国の薬剤師免許は、(一応)全圏内共通と見なされ、互換性があるものとされています。働く前に、その国の薬剤師免許管轄機構に登録することが必要で、その際に、その国の言語の語学試験に合格することなどが求められる場合もあります。でも、私にも(英国のEU 正式脱退までは)、こんな素敵な国で働くことができる職業資格があるのだなと、薬剤師という職業の国際化をありがたく思いつつ、モナコを後にしたのでした。

 

今回のクルーズ休暇中の「知らない国の知らない街の薬局に行ってきた」シリーズは、次回にも続きます。

 

では、また。

 

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モナコ、とても気に入り、別れが辛く、船が港を出航してからも、ずっと眺めていました。うううっ。。。。