日英薬剤師日記

イギリスの国営医療(NHS)病院で働く、臨床薬剤師のあれこれ

見知らぬ街の薬局を訪ねてみた。スペイン・バルセロナ編

この旅行記シリーズは、前回(⬇︎)からの続きです。

 

大好きになったモナコを去った後、船は、フランスの港町、ツーロンに停泊した。その日は街から聞こえる、来たるワールドカップ優勝戦への市民の祈願の熱気をバックグラウンドに、船上のサンデッキで、一日中本を読んでいた。私たちの船が去った数時間後のその晩、フランスが、ワールドカップで優勝した。

 

で、今回のクルーズ休暇の最後の寄港地は、スペイン・バルセロナだった。

 

正確に言うと、ここ、「全く見知らぬ街」ではない。

 

約20年前にも、2回ほど観光で来ている。英語圏ではない国の、初めての旅だった。

この街も、薬局が多い。20年前にすでに、薬剤師が予防接種を薬局内で請け負っていた。薬剤師の職能の高い国なのだと思う。

今回訪れてみて、バルセロナ、ものすごく「商業的な」街に変革したと思った。私の知っている20年前のバルセロナは、オリンピックが終わったばかりで、「やる気のなさそうな・ゆったりとした・殆どの人が英語を話せない」街だったからね。今回、この街の最大の観光名所、サグラダ・ファミリアも時間制限で入場しなければならないと知り、諦めた。20年前は、勝手にてっぺんまで歩いて登れたのだけど。。。残念。 

 

で、今回は、まず、バルセロナの一番の繁華街である「ランブラス通り」の薬局をくまなく訪れる、というミッションを、自分に課してみた。

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でも、この「ランブラス通り」のちょっと脇の通りにも、薬局が無数にあることに気づいた。だから、全部は網羅できなかったな。バルセロナの薬局の数の多さ、恐るべし(笑)

この薬局が一番「ゴシック風」で雰囲気があった(写真下)。創業1840年とのことだけど、ここに勤務する薬剤師さん、なぜか、殆ど全員が中国系の方だった。薬剤師は、確実にグローバル化しているね。

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ヨーロッパでは、薬局のマークは「緑の十字」と思っていたけれど、この街では「赤十字」もあり、「緑十字」と「赤十字」を両方掲げている薬局もあり、さらには、「緑の外枠に赤十字」の薬局もあった。違いは何なのか? と疑問に思い、英国へ戻ってから、職場のスペイン出身の同僚に聞いてみたが、「違いはない」とのこと。本当? 

英国では、薬局のサインは全て「緑十字」で統一されている。薬局の開局認可・登録元が、「緑十字」を、薬局にしか使用できないように、厳重に規制している。

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訪れた薬局が、たまたまそうだっただけなのかもしれないけれど、バルセロナの薬局は、フット・ケア用品が充実していた。街の中心地から離れた「グエル公園」に行く途中で見つけた、以下の薬局でも、「フットケア・クリニック」やら「栄養士によるクリニック」が併設されていた。

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それから、この上の写真の薬局の入り口の左側に小さく写っている「青十字」ですが、スペインでは「獣医系の医薬品を扱う免許を持つ薬局」のマークだとのことです(➡︎英国へ帰国してから、前述の職場のスペイン人の同僚が教えてくれた)。珍しい薬局だったんだーっ!

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こちらの薬局を訪れた際、ちょうど、薬の問屋さんも配達に来ていた。この「配達」システムは、どこの国でも、同じようだね。

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薬局巡りで歩き疲れて、立ち寄ったカフェで、サングリアを頼んだ(写真下)。20年前にも、バルセロナの街で炎天下の中これを飲んだ、楽しい思い出があったから、これを飲まずに、この地を去れないと思って。でも、私、滅多にアルコールを口にしない人。だから、久しぶりに気持ちよく酔ったけど、後の記憶が、ちと曖昧(笑)。それ以上の薬局訪問は諦め、船に戻りました。

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以上で、スペイン・マヨルカ島経由で、英国に戻ってきた。夢のような休暇だったな。

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現在、私が勤務する、英国の国営医療サービス (NHS) では、従業員が休みを取れないと、その上司の管理能力不足ということになり、査定にも響くほど。だから、皆、有給休暇はしっかり与えられ、きっちり取る。今年度、私の有給休暇は33日である。

だから、それはとてもありがたいのだけど、英国に戻ってくると、休暇期間のしわ寄せで、夜勤当直・休日勤務などが、一気に押し寄せてくる。そして、否応なく現実に引き戻される。。。(溜息)

 

 で、帰国直後に割り当てられていた夜勤当直が終わった途端に、夏風邪を引いてしまったよ。とほほほほ。。。

 

最後に;

今回、ヨーロッパ圏の3ヶ国の薬局を訪ねたのですが、

薬局は、

イタリアでは「Farmacia」、モナコでは「Pharmacie」、そしてスペインでは「Farmacia」だった。ちなみに英国では「Pharmacy」もしくは「Chemist」。

 

「薬局」という語の(微妙な)綴りの違い、面白い。

 

では、また。