今回、休暇で、日本へ帰国した折のことですが;
休暇の始まりについては、前回のエントリ(⬇︎)も;
当初は、どの薬局の店頭でも展開されている、花粉症の薬の種類の豊富さと、その陳列の美しさに、ただただ感嘆していました。
どこも、まるで、お祭りの縁日のような飾り付けじゃない!
なんてね。
ちなみに、私、アレルギーとは、ほぼ無縁の人(だったはず)。
でもね。。。
今回の日本滞在中、なんと、その私が、花粉症を発症した。
うん10年生きてきて、初めてのことだったのよ。。。。。。
日本滞在2週目、突然、あれ? 風邪のひき始めかな? と思ったのが、ことの始まり。
次の日から、激しい鼻づまりと鼻水を交互に繰り返すことになった。せっかくの休暇なのに、何だか、何もやる気が起きない。。。 でも、風邪にしては、鼻と涙目以外の症状の他には、何もない。
あれ? これって、ひょっとして「花粉症」なんじゃない??? という判断に至った。
で、今まで、日本の薬局の店頭で、他人事のように驚嘆していた「花粉症のコーナー」の薬を、自身で逐一分析し、セルフメディケーションすることと相成った。
という訳で、今回は、日英の花粉症薬の比較についてです。
鼻水が止まらなくなった時点で、とりあえず服用を開始したのは、英国から持ってきていた、こちらの薬でした(写真下⬇︎)。「Piriton(ピリトン)」という商標名の、クロルフェナミン。
私は、世界中どこを旅する時でも「いざという時の『超』必要最低限の薬」を持っていく。
クロルフェナミンは、その一つ。鼻水を伴う風邪や、突然の蕁麻疹、虫刺されとかにも即効的な効果があるから。
英国では、一般名処方が主流で、OTC薬でも、国民は、ブランド薬よりも、廉価なジェネリック薬を好む傾向にある。だから、国民も、薬の名前を一般名で覚えている場合が多い。
でも、クロルフェナミンの元祖ブランド名である、この「Piriton(ピリトン)」は、国内であまりにも有名。そのため、未だに、国営医療サービス (NHS) の医師ですら、その一般名を思い出せず、ブランド名で処方してくることもあるほど。英国で、これほどまでに「ブランド化」に成功した薬は、珍しい。
で、この英国から持ってきていた「ピリトン(=クロルフェナミン)」がなくなりかけた時点で、日本の薬局でまず購入したのは、こちらでした(写真下⬇︎)。
鼻を主症状とする風邪かな? と思っていた頃であったため、ピリトンと一番似た成分のものとして選びましたが、こちらは、クロルフェナミンとエフェドリンの合剤でした。
ちなみに、英国では、エフェドリン系の薬は、一度に販売できる薬の個数に制限があります。覚せい剤を合成する原料に悪用されることが多いためです。この薬の「一度に販売できる分量」は、英国薬剤師免許試験問題で頻出の出題分野です。
そして、それからしばらくして、「これは花粉症に違いない」と自己診断した際、購入したのはこちらでした(写真下⬇︎)。
フェキソフェナジン、英国では、未だに「要処方せん薬 (POM) 」です(→英国の医薬品分類の簡単な説明については、前回のエントリからどうぞ。リンク、今回のエントリの冒頭(⬆︎)にあります)。しかも、1日1回120mg - 180mg の服用となっています(写真下⬇︎)。そして、花粉症というよりは、専門医による、慢性蕁麻疹に使用されるのが主な薬となっています。
一方で、フェキソフェナジン、私が数年前、ロンドン市内の日本人の患者さんを主に診療する医療クリニックでアルバイトをしていた頃、花粉症の患者さんの大半に処方されていました。そして、患者さんが口々に「あ、これ、『嵐』が宣伝をしている薬だ!」と仰っていました。
それが、記憶に残っていて、日本人向けに花粉症に使用されている薬だったら、私にも効くかな? といった理由で、今回、購入してみた次第です。
で、英国へ帰国してから、その「嵐の『フェキソフェナジン』のCM」とやらをYouTubeで探し観て、その一面紫色の画像の奇抜さに、仰天。すごい、日本らしいテレビコマーシャルだねえ!
そして、そこで(ようやく)分かったのですが、今回、日本津々浦々の薬局の店頭のポップで見かけたこの方(写真下⬇︎)こそが、嵐のメンバーのリーダーさんだったんですね。。。。
行く先々の薬局で「紫色のカツラをかぶった、このプロボクサー、誰ぞや?」と首を傾げておりました。私、『嵐』の各メンバー、未だに全員見分けがつきません。。。(二宮和也さんだけ、なんとか。父がファンのようなので。笑)。コレ、『嵐』のファンの方々に、袋叩きにあいそうな発言のことは、重々承知です。でも、私、日本を離れてかれこれ約20年だから、こういった類の話題、めちゃくちゃ疎いんですよ(謝)。でも、私も、在英日本人患者さんからの口コミ情報で、今回この「アレグラ」を購入したのだから、ジャニーズの宣伝効果、絶大ってもんです。
ちなみに英国では、医薬品のコマーシャルで人気アイドルを起用することは(まず)ありません。広告規制がとても厳しい分野になっているからです。
ところで、今回、このように、日本のOTC薬をいくつか購入してみて、気づいたことがあります。
日本のOTC 薬、実際の中身の薬のサイズの割に、外箱が異様に大きいのですね(写真下⬇︎)。
一方、前述のピリトン (Piriton) といい、写真下(⬇︎)は、英国の代表的な OTC 総合感冒薬ですが、ほぼ全ての医薬品が、本体にぴったりのサイズで、外箱が作成されています。
そして、今回、日英両国で共通だと、一つ新たに発見したことは;
「売れている薬ほど、キラキラに輝く・銀色がかった・光沢のある外箱だ!」
ということでした。
「アレグラ」も紫と銀の光沢のある外箱でしたし、こちらの、英国のOTC 薬を一同に集めたようなこの棚「ギンギラギンにさり気なく♪」です。ちなみに、英国で一番売れているOTC 薬は、この写真下の棚の最下側に主に写っている、やはり銀色の外箱の「ニューロフェン」という商標名のイブプロフェン、という統計になっています。
で、とても心配した、自身の花粉症の予後だったのですが。。。
なんと、英国へ帰国したとたんに収まりました。
夢見ていたのかな? 今までの症状のひどさは何だったんだ? というぐらいにね。
もっと正確に言えば、英国への帰国の飛行機内に乗り込んだとたんに、症状が軽くなっていくのがすでに感じられ、仰天。
日本の花粉症の脅威、まさに恐るべし。。。です。
で、今回の経験から、私自身、花粉症に興味を持つことになり、英国へ到着後すぐ、ヒースロー空港での税関を通り抜けた先のブーツ (Boots) にも立ち寄ってみました(写真下⬇︎)。
で;
花粉症の薬のコーナー(写真下⬇︎)、めちゃ、地味じゃない。。。(爆笑)
しかも、英国でも、一応、目下、花粉症の季節ですが、店頭での展開ではなく、普通の棚での陳列だった。
日本の花粉症、製薬企業と薬局の一大ビジネスであることを、確信。
今後、花粉症の時期の、日本での休暇を避けるべきか。。。
でも、花粉症の時期って、桜の開花の時期とも重なるんだよね。将来、桜を全く愛でられなくなるのは、日本人として悲しい。しかも、日本薬学会の大会って、いつも3月末じゃなかったけ?
などど、目下、真剣に悩んでおります。
では、また。
<番外編>
そんな訳で、今回は、日本休暇の大半を、常に鼻をかみながら過ごしたのですが;
日本は、ティッシュやらお手拭きを入手するのに、全く難儀がない国なのだということを、今回、再確認(写真下⬇︎)。
英国では、ポケットティッシュって、薬局で、自腹で買うものだ、という認識がある(写真下⬇︎)。街頭で、無料で配っているなんて、あり得ないよ。。。
日本の皆さん、絶え間なきティッシュの供給を、本当にありがとうございました!
では、また。