日英薬剤師日記

イギリスの国営医療(NHS)病院で働く、臨床薬剤師のあれこれ

英国薬剤師・薬局スタッフの恋愛事情

 

今日は、バレンタインデーですね。

という訳で、今回は、英国の薬剤師や薬局スタッフの恋愛事情とか、この業界内でのパートナーシップについて書いてみようと思います。

 

まず、はじめに、一言。

 

英国の薬学・ 薬局関係者って、ずばり、「カップル」になりやすい世界です。

 

日本で暮らしていた頃、「薬剤師同士のカップル・ご夫婦」って、まず見かけたことがなかった(私の周りだけだったのかも知れないし、現代の風潮は変わってきているかも知れませんが。。。)。

私が日本で卒業した薬科大学で、お父さま・お母さまとも、その大学卒業の薬剤師で、それ故に入学してきた息子さん、という同級生が、クラスに一人いた。あまりにも珍しく感じたからこそ、今でも覚えている。恐らく、私自身が存じている「日本人薬剤師のご夫婦」は、こちらを含めても数組だけ。

だから、英国で働くようになって、薬剤師・薬局スタッフ同士で、ものすごい確率でカップルになっているということを目の当たりにし、それは、それは『衝撃』を受けたのだ。

 

で、英国の場合、それで結婚(事実婚も含む)すると、「業界制覇」していると言っても過言ではないほどの、パワーカップルとなる場合が多い。

私の身近な例をいくつか挙げてみると;

実例(1): ロンドン大学薬学校の薬局実務センター長であった教授(夫)と、西ロンドンの超大型国営大学病院の薬局長(妻)(注:このご夫婦は、現在2人とも定年を迎え、現役を退いています)

実例(2): ロンドン聖トーマス病院の現副薬局長(夫)と、南ロンドンに位置するガトウィック空港近郊の国営病院の主任臨床薬剤師(妻)。ちなみに、奥様の方は、英国南部ブライトン大学薬学部の教員でもある。

英国内で最も有名な病院の一つであるロンドン聖トーマス病院の歴史、そして、私のそこで過ごした日々の個人的な回顧については、こちらのエントリ(⬇︎)からどうぞ

実例(3): ロンドンの国営医薬品情報センター所長(夫)と、西ロンドンの地域医療を総括する薬局サービス機構の主任薬剤師(妻)。妻が、王立ブロンプトン病院という、心肺系専門国立センター病院での仮免許(プレレジ研修)薬剤師時代、のちに夫となった人は、そこの医薬品情報専門薬剤師として働いていたという間柄が、馴れ初め。

実例(4): 私が以前勤務していた精神科専門病院の、現在の薬局長(夫)と、同じ薬局内で働くファーマシーテクニシャン(妻)。ご夫婦とも、以前は、西ロンドンの超大型国営大学病院(上述の実例(1)と同じ病院です)に勤めていた。妻の方は、当初、病棟看護助手として。夫の方は、そこの病棟担当薬剤師として。付き合い始めて、パートナーに感化されたのか、妻となった方が、突然「ファーマシーテクニシャンになる」と言い出し、キャリア変更。そして、妻の方が先に、その精神科専門病院で働いていた(→つまり、彼女は、一時期、私と同職種の同僚であった)。それから5−6年後、そこの精神科専門病院の前薬局長が退職。超大型国営大学病院に引き続き勤務し、そこの調剤室長となっており、管理職能力を身につけていた夫が、『妻の紹介』で、その精神科専門病院の薬局長の後任ポストに応募。見事、任命されたという経緯。

私が英国で最初に、ファーマシーテクニシャンとしてキャリアをスタートさせ、それから仮免許薬剤師としても研修した、その「精神科専門病院」の詳細は、こちら(⬇︎)からどうぞ

 

で、これらの方々の(ほぼ)全員に共通していることが一つある。

夫と妻で、それぞれ「別姓」にしているのだ。

英国では、いわゆる「プロフェッショナル」と呼ばれる、専門職を持つ人たちは、婚姻後も苗字を変えずに仕事をしている人が多い。転職の際などに「縁故関係」による利害関係を(表向きは)避ける為に、別姓を名乗った方が便利、という実用的な利点もある。英国の薬剤師・薬局スタッフは、頻繁に転職をするし、ご夫婦で同じ職場に勤務しても、自他共に、さほど違和感を覚えないです。

でも、一方で、まさか「この人とこの人がカップル・ご夫婦だったんだ!」とは知らずに、「地雷」を踏むような失敗をしてしまうことも(よく)あるのよ。要注意。。。

 

例えば、私、ロンドン大学薬学校の大学院時代、前代未聞の落ちこぼれだった。でも、英国での仕事が是が非でも欲しくて、卒業前後の就職活動中、西ロンドンの大型国営大学病院のファーマシーテクニシャンの職の求人が出た際、自分がどんなにすごい人かを書き立てて、応募した。まさか、上述の「実例(1)」の間柄があったとは知らずにね。

で、実例(1)のご夫婦共、私のあの「盛りに盛った(→英国の就職活動では、当然のように行われているけど。。。笑)応募用紙」を読み、片腹痛いほど笑ったんじゃないかな。私が逆の立場だったら、絶対に、爆笑モノ(赤面)。

英国の雇用には「個人情報機密保持法」が適用される。とはいえ、薬学・薬局職に関して言えば、表沙汰にはされない「内部情報」も、このような筋から(確実に)流れている(はず)。

これ、私自身、英国の薬局業界で、十余年働いてきて体得した、不文律。

 

しかも、上記に挙げたのは、氷山の一角のごく数例。私の周りを見渡すと、実に「薬学・薬局関係者間でのカップルだらけ」だ。

で、面白いことに、薬局スタッフと、他の医療従事者とのカップルって、少ない。

日本の医師は、結婚相手としてとても人気があるそうだけど、英国の、特に急性病院勤務の医師は、(個人的に)正直、どうかな? と思う。一人前の医師になるまでの期間がものすごくかかるし、国営医療病院の数が限られているゆえ、その訓練期間とか、理想の仕事・職場に辿り着くまで、全国津々浦々で、頻繁に転職していかなければならない。そういう人が相手だと、常に長距離恋愛か、別居婚となる宿命にある。

私の周りの薬剤師の知人・友人を見渡しても、「家庭医と付き合っている」「家庭医と結婚した」「精神科専門医と結婚した」という同僚が数名いるだけ。これらの医師は、病院勤務医師よりは、ワークライフバランスがいい。でも、それにしても、割合としては、圧倒的にマイノリティ。

他の医療従事者(歯科医師、看護師、理学療法士、栄養士、放射線技師などなど)とかのカップルとかも、ほぼ聞いたことがない。英国の薬剤師・薬局スタッフは、とにかく、内輪同士でカップルになる。実に、血の濃い世界。。。(笑)

 

と、ここまで書いて、今日は掲載できる写真が少ないなーと思った。

という訳で、今日は、私の現在の職場で一緒に働く男性同僚たち数人を、特別紹介。薬剤師は、基本「女性の数が圧倒的に多い」というのは世界共通。だから、私の職場には、女性の取り扱いに慣れている、以下のような「ゴージャスな男性たち」ばかりです。

 

ジョナサン君 (集中治療室担当臨床薬剤師)。香港系中国人

全国でもトップクラスの薬剤師たちが働く、英国南部のサウサンプトン大学国営病院で、新卒薬剤師として訓練を受けた、切れ者薬剤師。ジョナサン君は、現在、シンガポールに赴任中の、コンサル会社勤務の中国人ガールフレンドと国際遠距離恋愛中。目下、2人で、シンガポール⇄英国を頻繁に行き来している。ロンドンという、人の流動の激しい街での恋愛事情を反映したカップル。

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ジョナサン君、緑色のペンを、いつも右耳にひっかけているのが、トレードマーク。大工さんみたいだ。。。(笑)

「緑色のペン」について、意味不明の方は、こちらの過去のエントリ(⬇︎)もどうぞ

 

シュラン君(調剤室・小児科担当臨床薬剤師)。スリランカ人

この人のガールフレンドは、未だ謎。でも、私の職場の中で、老若男女の同僚すべてにダントツ人気があるのは、こちらのシュラン君。人心を掌握するのが天才的。良い意味での「人ったらし」(笑)。オックスフォード大学付属の国営病院で、派遣薬剤師として数年働いた後、私が現在勤務する病院へ彗星のごとくやってきて、誰からも愛される『寵児薬剤師』となった。私、この人、将来、絶対、どこかの国営病院の薬局長になるって、信じている。

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困っている人がいたら、見捨てておけないと言わんばかりに、誰にでも助けを差し伸べるシュラン君。お陰で、他の人よりかなり多くの夜勤当直を行なっているため、この写真の彼は、かなり眠たそう。。。(笑)

 

マット君(調剤室長チーフファーマシーテクニシャン)。ニュージーランド人

現在、ロンドン中心地の超大型大学病院の医薬品製造部門の主任薬剤師である、英国人のガールフレンドと一緒に暮らしている。彼が、その病院のシニアファーマシーテクニシャンであり、彼女が仮免許(プレレジ研修)薬剤師であった頃からの付き合いなんだって。で、それから約5年たった現在、彼女の方が、はるかに高収入を得るようになった(注:仮免許薬剤師の年収は、シニアテクニシャンより低い)。で、マット君曰く「彼女にもっと稼いでもらって、将来は、ニュージーランドで『ヒモ』として暮らしたい」だって。オイっ!(爆笑)

ちなみに、オーストラリアやニュージーラント人(男性)と英国人(女性)のカップルって、男性の方がどうしても、自国へ帰りたくなり、女性が最終的に移住するケースになる場合が殆ど。

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マット君、目下、ガールフレンドと長期休暇中。で、このブログに掲載できる写真がないなあ、と思っていたら、病院内で配布されている「薬局案内」のリーフレットに載っていた写真があった! ちなみに、横の女性は、マット君のガールフレンドではありません(念のため。笑)。私の職場の調剤室長補佐のシニアファーマシーテクニシャンです。つまり、上司と部下が、互いに、薬局スタッフと患者さんのモデルとして(演じて)撮影されたものです

 

アドルフ君(ファーマシーテクニシャン見習い)。スペイン人

アドルフ君の奥さんは、インド人で、私が現在勤務する病院に、以前、ファーマシーテクニシャンとして勤務していた。2人は、数年前まで英国の大手スーパーマーケット系の薬局に勤務しており、そこでの同僚として知り合い、結婚。

私が勤務している病院には、奥さんの方が、先に入局し、夫であるアドルフ君も、後を追うように、ファーマシーアシスタントとして入ってきた。お昼休みに、いつも2人一緒に、病院の食堂で向かい合って食べているのが、微笑ましかった。でも、奥さんは、さらにより良い職場を見つけ、つい最近、転職した。夫のアドルフ君の方は、数ヶ月前から、ファーマシーテクニシャンになるべく、ファーマシーアシスタントからファーマシーテクニシャン見習いへと昇格した。2人とも、薬局スタッフ同士のパワーカップルを目指し、頑張れー!

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とても誠実に仕事をするアドルフ君。英国に来る前は、スペインの薬局に勤めていた

 

それから、忘れてはならないのは、私の職場で(密かに)ロマンス進行中のこの2人、仮免許(プレレジ研修)薬剤師同士のカーティス君とエミリーさん(写真下⬇︎)。なかなか順調のようです。ぐふふふふ。。。。

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カーティス君とエミリーさんについての以前のエントリは、こちら(⬇︎)からどうぞ

 

最後に。。。 

今回は、「男女」のパートナーシップについて焦点を当てましたが 、英国国営医療サービス (NHS) は、英国内最大のLGBT従業員数を誇る雇用先でもあります。いつか、このことについても、ブログで書きたい。

 

それでは、皆さまも「Happy Valentine's Day! 」

 

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勤務先の病院内の売店に陳列されていたバレンタインデー用の商品。英国では、チョコレートより、このような花束を贈るのが、主流

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それから、バレンタインデーにちなみ、勤務先の病院のレントゲン室の入り口には、こんなポスターも。『ハート(愛)』があるねえ(笑)

 
では、また。