日英薬剤師日記

イギリスの国営医療(NHS)病院で働く、臨床薬剤師のあれこれ

前途有望な日本人薬学生さんたちに会ってきた@ハートフォードシャー大学 in 2019/20

 

先週は、ここ(写真下⬇︎)へ出かけてきた。

毎年恒例の「前途有望な日本人薬学生さんたちに会いに」。

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英国ハートフォードシャー大学薬学部が所在するキャンパス (College Lane Campus, University of Hertfordshire)

前回「前途有望な日本人薬学生さんに会った」ときの話は、こちら(⬇︎)からどうぞ(→注:通常9−11月にかけて行なっている研修コースですが、前回だけ、ハートフォードシャー大学側の都合で、冬期になりました)

 

日本の明治薬科大学は、英国のハートフォードシャー大学薬学部と提携している。

そのため、5年次に「海外医療研修コース」を選択した学生さんが、毎年2ヶ月弱、ハートフォードシャー大学薬学部で学んでいる。

明治薬科大学の海外医療研修コースでは、他の国の大学とのプログラムも提供しているのだけど、ハートフォードシャー大学にいらっしゃる学生さんたちは、特に優秀な方々だと伺っている。他の国に比べ、受け入れ先大学からのサポートが少ない。大学内の学生寮とかも完備していない。英国滞在中の家とかを、自力で見つけることなどから準備しなくちゃいけないからね。

で、私は、毎年、このコースを(微力ながら)お手伝いしている。

2012年から参加しているので、今年で8年目。

英国の薬科大学の中では新設校であるハートフォードシャー大学薬学部の創設者が、私のロンドン大学薬学校大学院時代の「薬学の父と母」と呼ぶ先生たちであった繋がりから。でも、これらの恩師たちは、数年前に定年を迎え、引退された。だから、現在、この海外研修プログラムを運営しているのは、新しい世代の先生たち。それでも毎年、お声をかけて頂いているの。本当に光栄。

私へは毎年「研修期間中に仕上げなければならない課題:①日英の薬学・薬局実務に関する比較小論文、②与えられた症例についてのポスター作成と口頭発表、の手助けになるようなチュートリアルを2日間、できれば、コース開始時点での早い時期と、中間期に。それから、研修最終日の症例発表会の試験官として来てください」と、ハートフォードシャー大学側からは依頼されているのですが;

色々な理由、主には本業の臨床薬剤師としての勤務スケジュールから、このご期待に(全て)添えた年は、今まで殆どありません😢

チュートリアルの日も症例発表の日も全く都合がつかず、学生さんと週末に、ロンドン市内のカフェでアフタヌーンティーをしながら、チュートリアルや、課題の手直しをした年もあります。

今年は、私自身が、先月、日本への休暇に出かけたため、チュートリアルを2コマできませんでした(謝)。

そんな訳で、ゆるーく、細々と行なっているコミットメントです。

 

実はこのコース、開設以来 (2011年〜)研修カリキュラム自体は(ほぼ)変更されていません。でも、どの年として同じものにならないのです。各学生さんのバックグラウンドや、いらっしゃる人数(通常2−4名)、そのグループの個性があるから。

時にドラマもあり、思い出深いことも多く、将来、日本の薬学・薬剤師を背負って立つであろう若い世代の方々にお会いできる機会を、私も毎年楽しみにしております。

 

で、今年はどうだったかと言うとですね。。。

今までの中で、一番「楽」な年でした(拍手)👏👏👏👏👏

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研修最終日の症例発表会後、修了証書を授与されての記念撮影。背景の症例ポスターも、学生さんたちが各自で作成したものです

通常は、私のチュートリアルが終わっても、課題提出の前に、学生さんから頻繁に連絡が来ます。でも、今年はそれが殆どなく、私の方が「大丈夫かのな?」と心配してしまったくらい(笑)。

で、その今年最大の成功の鍵は、ハートフォードシャー大学薬学部が割り当てた、現役薬学部3年生(→注:英国の薬科大学は4年制です)の「バディ(Buddy =お世話役兼勉強仲間)」だったのだと思います。

バディというのは、英国では、よく採用されているシステム。私が勤務する国営病院 (NHS) 薬局でも、入局してきた薬剤師(特に、ジュニアグレード)に対し、「ちょっと上の先輩」が、新しい環境に慣れるまで、何でも聞ける世話役として割り当てられている(例:下の表⬇︎)。バディは一応、面倒見のよい人に厳選されるため、その役に割り当てられたということは、誇るべきこと。

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私が勤務する病院薬局でも「バディシステム」が導入されている

明治薬科大学の学生さんに対する、ハートフォードシャー大学海外研修プログラムでの「バディシステム」は数年前から始めたと聞いているのだけど、今年のバディさんたち、本当に素晴らしい英国薬学生さんたちだったのです!

課題をチェックして下さったとか、バディの友人たち(=ハートフォードシャー大学薬学部の他のコースメイト)を引き連れて一緒に会食したりとか、楽しそうな写真を見せてくれました。

それでね、今年、何よりもびっくりしたのが、このバディとその友人たちの薬学部3年生が、研修最終日の症例発表の会場に、さながら「応援団」のごとく観客として現れたこと。そして、全ての課程が終了した最後の別れ際ですら名残惜しそうに「これからウチに来ない?」と親身に申し出るバディもいたぐらいでした。

そんな姿に、私、真の意味での「国際薬学生交流」を目の当たりにしたのです。

約2ヶ月弱という短期間の中で、このような絆を築けた、今年の明治薬科大学の学生さんたちの人間力に、敬服しました。

 

全て英語で行う口頭症例発表も、堂々としていました(写真例⬇︎)。

大学5年生で、これだけできるって、凄いことです。これからの将来、恐るべし。。。

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研修最終日の症例発表は、英国の臨床薬剤師たちによって採点されます

 

それから余談になりますが、私にとっても、今年の最終症例発表会は、ことさら記憶に残る日となりました。

私が「薬学の父」と仰ぐ、ロンドン大学薬学校大学院時代の病院実習での恩師が、採点官として来ていたからです。定年を迎え、最近は滅多に薬学の公の場には現れなくなった先生との思いがけない再会に、2人とも思わず大声を上げて抱き合いました。

先生は相変わらず、切り込むような質問を学生さん一人一人に投げかけており、「一流の臨床薬剤師」というものはこういうものなのだと、改めてその凄さを拝見させて頂きました。

英国に来て、最初に指導を受けた臨床薬剤師の先生であり、それから約20年経った今なお、彼を凌ぐ薬剤師には出会えていません。この先生を超える臨床薬剤師になることが、私の生涯をかけての目標だと思っています。

私のロンドン大学薬学校大学院時代の病院実習については、こちら(⬇︎)からどうぞ


それから今年は、この明治薬科大学海外医療研修コースでのハートフォードシャー大学担当責任者でおられる赤沢学教授先生による、学生さんたちとの「打ち上げ食事会」にも招待していただきました。

先生、デンマークでの国際医薬経済学会への出張も兼ねているとのことで、3日だけのロンドン滞在にもかかわらず、その晩は遅くまで、時を忘れるのほど楽しく話し込みました。それで最後に、学生さんの一人の終電が危ぶまれるというオチがありました。これが、全てうまくった今年のプログラムで、一番慌てたことです(笑)。

 

こういう、普段出会えない方々にお会いでき、面白いお話を伺えることが、私の職業上のご褒美だと思っております。

 

明治薬科大学とハートフォードシャー大学の関係者の皆様に、毎年、感謝です。

 

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打ち上げ食事会でのデザート。赤沢先生、いつもごちそうさまです。でも、私自身、おごり返せるほどの人になりたいと思う今日この頃。。。

 

それでは、また。