日英薬剤師日記

イギリスの国営医療(NHS)病院で働く、臨床薬剤師のあれこれ

2018-01-01から1年間の記事一覧

薬科大学生・仮免許(プレレジ研修)薬剤師月間

今月は「薬科大学生」や「仮免許(プレレジ)薬剤師」に接することの多い月だった。 第1週目は、キングストン大学 (Kingston University) 薬学部3年生の2人、アリフ君とビクトリアさんが、病院薬局実習の一日として、 第2−3週目は、私が現在勤務する病…

英国永住権(無期限滞在許可証)取得10周年

今日は、私にとって、英国の永住権を得た日から、ちょうど10年目の日だった。 英国に移り住んだ最初の2−3年は学生ビザ、それから、労働許可書ビザで5年、そして永住権ビザを得て、今日でかれこれ10年。 「何でずっと英国にいるの?」とよく、色々な方…

アガサ・クリスティと薬局と毒薬、そしてアフタヌーンティー

今、英国では、クリスマスシーズン真っ只中。 で、最近、ロンドンの中心街にある大学病院前の巨大クリスマスツリー(写真下)を通り過ぎた際、ふと思い出したことがある。 「アガサ・クリスティ」 ミステリーの女王と呼ばれるこの英国人推理小説家、元々の職…

世界エイズデー

今日は、世界エイズデー 私、現職が「感染症専門薬剤師」だから、この分野も、(一応)守備範囲。 という訳で、今日は、英国のエイズ事情と、その医療サービスについて語ってみたい。 ところで私、英国を代表するロックバンド、クイーンの大ファン。 日本の…

日本人薬学・薬局関係者の英国視察に関する考察、いろいろ

先週は、とある日本の薬局コンサルタント会社が企画している英国医療・薬局視察に、コーディネーター兼通訳として、随行していた。 こちらの団体、かれこれ5年ほど連続で、英国へいらしている。 参加者の方々は、皆、とても温かい人たち。そして、すごく勉…

世界抗生物質啓発週間と、私の現在の仕事

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、先週(11月11日ー11月18日)は、「世界抗生物質啓発週間」でした。 唐突ですが、私、現在の職業名は、「感染症専門薬剤師」。 という訳で、今回は、英国の抗生物質の使用状況とか、自分が日頃どんな仕事をしているの…

英国国営医療サービス (NHS) の薬局に就職する方法・作戦編

今回のエントリは、前回(⬇︎)からの続きとなっています。 『労働許可証 (work permit) ビザ』 日本人が、英国でフルタイムで正規に働くには、英国永住権を保持しているか、英国籍もしくはEU加盟国の国籍の者と結婚している方でない限り、ホームオフィスと呼…

英国国営医療サービス (NHS) の薬局に就職する方法・概論編

私は、今までの職歴を振り返ると、秋から冬にかけて、就職面接試験を受けることが多い。 そして、その場合、なぜか、成功率が高い。 日本で、新卒薬剤師として働いた病院、そして、その後のドラッグストアを皮切りとし(→でも、日本での就職は、どれも、ほぼ…

見知らぬ街の薬局を訪ねてみた。東京日本橋人形町・水天宮編

ここ、日本へ帰国すると常泊する宿のある街。 私、父の仕事の関係で、子供の頃、かなりの回数、引っ越しをした。日本での学歴は全て東京の学校になっているけれど、東京都内でもよく家を替えたし、今まで住んだ日本中のどこを思い浮かべても、我が家というか…

日英薬剤師が、日本の薬局で買ったもの(2)

この「日英薬剤師が、日本の薬局で買ったもの(2)」は、前回(⬇︎)からの続きです。先日の日本での休暇中に購入したものの紹介と、英国の同等製品との比較です。 (4)感冒予防・うがい薬 家庭医(=かかりつけ医)の予約が取りにくい国、かつ、病院とい…

日英薬剤師が、日本の薬局で買ったもの(1)

電光石火で、日本で休暇を過ごし、英国へ帰ってきた。 今回は、家族旅行が主目的であったため、ごく限られた方々にしかお会いしませんでした。ご無礼してしまった皆様、ごめんなさい。 -------------------------------------------------------------------…

英国で初めて医者へ行ったときの話

このエントリは、前々回からの「英国に移り住んだ頃の話」(⬇︎)のシリーズものです 英国の大学院に入学した途端に、体調を崩してしまった。当時は、若くて、病気一つしなかった私だったので、「何かおかしい」と思ったが、まさか風邪とは思わなかった。 日…

ロンドン大学 国際学生寮 (International Hall, University of London)

このエントリは、前回からの「英国に移り住んだ頃の話」のシリーズものです。 英国に移り住んだ最初の年、「International Hall(インターナショナル・ホール)」 と呼ばれるロンドン大学の学生寮に住んだ。 日本を飛び出し、スーツケース1つでやって来た異…

ロンドン大学薬学校 臨床薬学・国際薬局実務&政策修士コース (MSc in Clinical Pharmacy, International Practice & Policy)

英国では、9月になると、すっかり寒くなる。 そして、私は、毎年この時期になると、英国に移り住んだ頃のことを思い出す。 という訳で、今回から数回に分けて、私がこの地に住み始めた年のことを、ちょっと書いてみようと思う。 私が渡英した最初の動機は、…

見知らぬ街の病院を訪れてみた。英国・オックスフォード編

先週末は、「バンクホリデー」だった。祝祭日の少ない英国のカレンダーで、土・日・月曜日が連休となる、「嬉しい週末」。一年のうち、5月の最初と最後の週末、そして8月の最後の週末が、それに相当する。 8月のバンクホリデーは、「夏休みの締めくくり」…

想い出す人

毎年、この時期になると、必ず想い出す人がいる。 日本で、薬剤師になって、一番最初に勤めた病院の上司であった薬局長さん。 1990年代中盤から、西東京のキリスト教系の病院に、5年半お世話になった。 いつもとびっきりの笑顔で、私をかわいがって下さった…

夏季薬局実習 (Summer Placement)

英国では、今、夏休みの真っ最中。 で、この時期、英国の薬局では、風物詩のようなものがある。 「夏季学生実習」 英国では「サマー・プレイスメント (Summer Placement) 」と呼ばれている。 薬学生が「職経験」を求めて、薬局に張り付き、実習する。 英国の…

英国薬剤師免許試験とBNF

先月末、英国薬剤師免許試験の合格発表があった。今回、2318名の仮免許薬剤師が合格し、合格率は79%だったそう。 私の職場の病院薬局の、今年度 (2017/18年) の仮免許薬剤師は4人いた。3人合格した。1人は、諸事情により今回の受験は棄権した。次の9月の…

見知らぬ街の薬局を訪ねてみた。スペイン・バルセロナ編

この旅行記シリーズは、前回(⬇︎)からの続きです。 大好きになったモナコを去った後、船は、フランスの港町、ツーロンに停泊した。その日は街から聞こえる、来たるワールドカップ優勝戦への市民の祈願の熱気をバックグラウンドに、船上のサンデッキで、一日…

見知らぬ街の薬局を訪ねてみた。モナコ編

この旅行記シリーズは、前回(⬇︎)からの続きです。 フィレンツェを発った後、船はジェノバ付近にも停泊したのだけど、前日からの「世界最古の薬局を訪れた」結果の歩き疲れで、その日は、船の中で、一日中ゴロゴロ。 そして、次の寄港地は、「モナコ」。 モ…

見知らぬ街の薬局を訪ねてみた。イタリア・フィレンツェ編

この旅行記は、前回(⬇︎)からの続きです。 今回の休暇、英国からスペインのマヨルカ島へ飛び、そこからクルーズを始めた。 最初に停泊したのが、イタリアのリヴォルノという港町。 そこから、クルーズ船会社が用意していたバスツアーで、フィレンツェまで足…

見知らぬ街の薬局を訪ねてみた。ロンドン・ガトウィック空港編

英国では、目下、本格的な夏休みが始まろうとしているところ。 英国人は、本当に、休暇好き。 天気の良い日が、滅多にない国だから、特に夏は皆、ギラギラな太陽を求め、国外脱出を図る。 行き先も、洒落た観光都市よりは、エキゾチックな国とか、ゆっくりで…

NHS(英国国営医療サービス)創立70周年

前回からの続きを書こうとしていたのだけど。。。 重大なことを、すっかり忘れていた。 今日は、これを書かずにはいられない。 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 前触れ…

プレレジ研修(仮免許薬剤師)時代のこと

先週の木曜日は、英国薬剤師免許の筆記試験日だった。 毎年、年に2回、6月末と9月末に行われる。 9月は、6月に不合格だった受験者の再試か、プレレジ研修(詳細は、下記)を何らかの事情で遅く始めた人のための試験日。だから、9割方の英国薬剤師の卵…

全ての始まり : ロンドン・聖トーマス病院

ちょっと前、誕生日で、お祝いをしてくれる人がいた。 その会場、たまたま、思い出深い場所の近くだったの。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- St Thomas’ Hosp…

緑色のペン

英国の薬剤師が「必ず」持っているもの --- 緑色のペン。 英国の医療機関では、処方せんをチェックしたり、医師への問い合わせ、看護師への申し送りなどに、緑色のペンで書き残すと、「これは薬剤師がチェック / コメントした」と見なされる。起源は定かでは…