この「日英薬剤師が、日本の薬局で買ったもの(2)」は、前回(⬇︎)からの続きです。先日の日本での休暇中に購入したものの紹介と、英国の同等製品との比較です。
(4)感冒予防・うがい薬
家庭医(=かかりつけ医)の予約が取りにくい国、かつ、病院という病原菌がうじゃうじゃしている場所で勤務している都合上、風邪をはじめとする感染症の予防は欠かせない。だから、私は毎日、自宅へ戻ると、「即・絶対に」手洗いとうがいをする。その時に欠かせないのが、写真下の「ケロ君のうがい薬」。
でも、うがい薬は、「予防」には良いけれど、一度風邪を引いてしまったら、その後の効果はない、と言われているよね。だから、下の写真にある喉スプレーも常用している。こちら、英国の健康食品とかビタミン剤を専門に扱ってる店やホメオパシー薬局で入手できる。
英国での日常生活でもそうだし、今回の日本滞在中、ちょっと強行軍だったこともあり、「あれ、ちょっと喉が痛い(かも)。大事を取らないと明日、体調崩すかもな」という日があった。でも、このスプレー、喉に噴霧すると翌日にはほぼ確実に完治しているという、優れもの。
「エキネシア (Echinacea) 」とは、キク科の花。なーんだ、西洋ハーブ薬か、と思うかもしれないが、侮ることなかれ。
エキネシア (Echinacea) の製品、英国の「OTC 薬便覧」にも、風邪の時の対応薬として載っている。だから、英国薬剤師であれば、誰しもが知っている風邪の治療薬。 私自身、ロンドンでホメオパスとして活躍する友人に勧められて、半信半疑で使用を開始したのだけど、現在は、もうこれなしでは、英国にて健康的な生活を送れないのではないかと思うほど、頻用している(よろしければ、私の英国生活にエキネシア (Echinacea) の喉スプレーをもたらした友人のブログも、以下のリンクからどうぞ(⬇︎)。どうやら、私、こちらのブログ内に、時々、そこはかとなく出没しているようです。笑)。
英国の薬局(というか、英国内の物流全てだとも言えるけど)は欠品が多い。だから、この喉スプレー、私は自宅に3−4本は常備してある。1本使い切ると、1本買い足す。常に複数を持っていないと、本当に不安。大げさなようだけど、私の健康上での、死活問題となるからね。
これ、英国を訪問する方にも是非、お試しして頂きたい。日本⇄英国の飛行機内の乾燥している環境での喉のイガイガ感の対応としても、とても良かったです。
で、冒頭へ戻り、なぜ私は、日本帰国の度に「ケロ君のうがい薬」を買い込むのかというと、英国人は、うがいをするという習慣がないから。英国では、事実上、風邪の予防などに使用するうがい薬は、製造されていない。じゃあ、喉風邪を引いてしまった人はどうするのかと言うと;
アスピリンの溶解錠を水に溶かして、それでうがいをするよう勧めよ、と、「英国薬局カウンセリング」の教科書にある。英国人のアスピリン信奉、すごい(以下(⬇︎)の過去のエントリもご参照下さい)。
あとは、リドカイン(Lidocaine, 英国ではライドケインと発音する)の喉スプレーを使用せよ、ともある。リドカインの喉スプレー(写真下)は、数年前、あまりにひどい風邪を引き、声を失った際、街の薬局で勧められ、試してみたが、喉がチリチリに麻痺する荒治療だった。本来は、麻酔薬だから当たり前なのだけど。声は(かろうじて)出るようになったけどね。
ちなみに英国では、一般の人が風邪の予防などでマスクをする習慣もない。何で? と思い、ずっと昔に、英国人の同僚に聞いてみたが、ロンドンのような、世界中からの価値観の異なる移民で成り立っている街でマスクをして歩くと「強奪者」や「テロ犯罪者」とみなされ、銃撃などされる可能性も出てきて危ないよ、とのことだった。ごもっともです。だから、日本から英国へ観光などでいらっしゃる方々も、街中でのマスクの着用は「絶対に」避けた方がよいです。
(5)鎮痛消炎貼付剤
英国には、鎮痛消炎貼付剤が、ほぼ皆無(写真下)。
運動などをしていて捻挫した、といった場合でも、すぐには家庭医の予約は取れないし、病院の緊急医療室へ駆け込んでも、骨折以外だったら、イブプロフェン(Ibuprofen, 英国では、アイブプロフェンと発音をする)を内服してね、と言われる(だけ)。
貼付剤自体は一応薬局の店頭にはあるのだけど(写真下);
Voltarol (ジクロフェナク、Diclofenac の世界的なブランド名。英国ではダイクロフェナクと発音する)と名打っておきながら、温めるだけの非医薬品なのね。しかもこれで、2枚入りのみの販売で5.79ポンド(日本円850円程度)って。。。本当にぼったくりだなあ。
私、何年か前、カリブ諸島の休暇へ出かけた際、慣れない靴でボコボコの道を歩いたら見事に足を挫いた。それから1−2ヶ月、Voltarol の OTC 塗り薬(こちらはジクロフェナク含有)を使用しながらびっこをひいて歩いていたのだけど、治りが悪く、生活にかなり支障をきたした。私の仕事、病棟から病棟を飛び廻る仕事だからね。。。。
で、まだびっこをひきながら、次の日本への休暇へ向かった。薬局で、こちらの鎮痛消炎貼付剤(写真下)を購入し、毎日使用したら、約2週間ほどで全治した。やっぱり、薬を局所的に確実に浸透させるのが良かったのだと思う。
結論:英国各製薬会社へ告ぐ。「鎮痛消炎剤貼付剤」を国内で製造・販売したまへ!!!
でも、現時点では無理だから、私は日本へ帰国するたびに、「もしもの場合に備え」鎮痛消炎貼付剤も大量に買ってくる。正に、転ばぬ先の杖でーす。
(6)お気に入りの日常必需品
私は、基本、化粧品とか美容の情報とか、ものすごく疎い。でも、このアスタリフトは、英国人でも知っているぐらいに知名度が高くて、日本人として誇りに思っている製品の一つ。数年前、日本のドラッグストアで、こちらの洗顔フォームをたまたま見つけて購入してから、もうそれから何本買ったか思い出せないほどリピート購入し、愛用している。だから、こちらも、日本へ帰国した際には、忘れずに購入するものの一つ。
それから日本のドラッグストアで、ボディーソープをあれこれ見て、新しいものを試すのも好き。日本のものは、高級なものでなくても、品質が素晴らしく良いからね。
で、今回は、こちらを購入。本当は、詰め替え用ではなく、本体のものが欲しかったのだけど、とある店舗で見つけて、そこで購入しなかったら、後の旅程で訪れたどのドラッグストアにもなかった。日本に滞在する期間が限られている私にとって、買い物は、いつでも「一期一会」(笑)。
ところで、詰め替え用パックって、日本特有のものなんだって。ちょっと前、ロンドン⇄羽田間のANA の機内番組で、花王の詰め替えパックをリニューアル開発したチームのドキュメンタリーを観て、すごく感動した。まさに「Inspiration of Japan」だったなあ。
ちなみに、上の写真の左側に写っているのが、私が、英国で日々愛用しているシャワージェルの「4711」。元々、ドイツ製品で、ロンドンで購入できるところ少ないのだけど、私は、英国最古の薬局の一つの「John Bell & Croyden」という所で購入している。ケネディ大統領も愛用していたんだって。だから、超ロングセラーだよね。どうりでこちらの製品、勤務先の病棟に入院しているご高齢者患者さんで使用している人をよく見かける。
シャンプーは英国製(というか、EU圏内製品というか、延いては、日本を含めた世界仕様?)のものを利用している。写真下の製品「head & shoulders」を、英国に移り住んで以来ずっと使用。こちら、英国人であれば、誰もが知っている商品。空気が乾燥しがちな英国で、頭垢が出なくなるという、驚異的な製品。英国内でも色々なコピー商品があるのだけど、皆、「ブランド品には絶対適わない」と言う。「洗った時の感覚が、まるで違う」とのこと。
英国内では異なる香りや趣向のものがたくさん販売されているけれど、私はいつもこの写真の「シトラスフレッシュ」を使用してる。香水アレルギーの私の「香り」も兼ねる、生活の必需品。日本へ休暇帰国する際にも、忘れずに持ち帰るほどの溺愛品。
スーツケースをほとんど空でロンドンを発ち、日本の薬局巡りで手に入れた戦利品ともいうべき色々なものを宝物のように持ち帰るの、大好き❤
<番外編2>
今回の日本での休暇、主に箱根に滞在していた。高度成長期からバブル時代頃までの日本を彷彿とさせるホテルに宿泊した(写真下)。
ちなみに、こちらのホテル、2003年の日英首脳会談の開催場所であったことを、滞在中にたまたま知った(写真下)。トニー・ブレア首相と小泉純一郎首相とのサミットだったんだって。
ブレア首相、英国人の間では「(英国のイラク戦争介入の)戦犯」としてレガシーがすこぶる悪い政治家。でも、英国国営医療サービス (NHS) 大改革の立役者としては評価されるべき人だと思う。私は、この首相の在任初期に英国へ移り住み、NHS がどれほど再建されたかを目の当たりにした。そして、彼の退陣後は、NHS がまた衰退していっているのを日々現場で見ているので、その点では、この首相の功績に、特別の思い入れがある。
では、また。