日英薬剤師日記

イギリスの国営医療(NHS)病院で働く、臨床薬剤師のあれこれ

バレンタインデー in 2020 私の職場の男性同僚たち

 

今日は、バレンタインデーですね。

という訳で、去年に引き続き「私の職場薬局の男性同僚たち」を紹介してみたいと思います。各人の仕事の説明と共に、英国の病院薬局って、いろんなスタッフがいるのだなあということを知ってもらえれば、幸いです。

 

まずは、この人。①薬局のポーター、アランさん(写真下⬇︎)。英国人。

私が勤務する病院は、敷地が広い。だから1日2回、薬局から病院中へ、医薬品の供給や調剤薬の配達を大きな台車で一括して行なっている。その他にも、退院薬が出来上がるたびに、病棟へ一つ一つ届けるのがアランさんの主な仕事。

それ以外にも、病棟で働く臨床薬剤師と調剤室のパイプ役として、アランさんは、私たちのために、病院中を駆けずり回ってくれている。

アランさんは、私がお願いをすることに、未だ一度として「No」と言ったことがない。これ、我が強い人たちが集まる英国の職場では、本当に尊敬すべきこと。そんな訳で、私、アランさんのことを、密かに「薬局のジーニー(→注:アラジンの物語で他人の願いを叶えるべくランプから出てくる従順な巨人)」と呼んでいる(笑)

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それから、ファーマシーアシスタントの、②もう一人のアラン君(写真⬇︎)。こちらは、アイルランド人。

元々、医薬品倉庫内のスタッフであったのだけど、去年「病棟付きファーマシーアシスタント」に昇格、内部異動した。

先日、私がオーダーした注射薬が、調剤室のエラーで「超過剰」に供給されてしまったことにいち早く気づいてくれた。病棟で、この「大間違い」に2人で吹き出して大笑いした直後に、この写真をパチリ(笑)

アラン君は、次のキャリアステップとして「ファーマシーテクニシャン見習い 」を目指しているとのことです。

英国国営医療サービス (NHS) の薬局スタッフには、歴然とした階級があります。でも、アラン君のように一番下の「医薬品倉庫番」から一歩一歩昇進していった人が、実は最も息が長く、重宝がられるメンバーとなる。私も、この国では、ファーマシーテクニシャンの最下位のポジションから始めました。

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 アラン君が現在目指している「ファーマシーテクニシャン見習い」職についての詳細は、過去のこちらのエントリ(⬇︎)もどうぞ

私、英国での職を探していた時に「医薬品倉庫アシスタント」の仕事にも応募したことがあります。その時の顛末については、過去のエントリのこちら(⬇︎)からどうぞ


③主任ファーマシーテクニシャンのマット君(写真下⬇︎)

マット君は、祖父母の代に英国から移住したニュージーランド人。ニュージーランドでファーマシーテクニシャンの免許を取得後、今から約15年ほど前に英国へやってきた。最初はコミュニティー薬局からキャリアをスタートし、後に国営医療 (NHS) 病院に転職、そして、現在、私の病院薬局の中では、テクニシャン職の最高位にいる(→注:ニュージーランドの薬剤師・ファーマシーテクニシャン免許は、2005-06年頃まで、英国のものに自動変換できた。英国連邦加盟国のよしみで。でも現在は不可。ただし、英国の薬剤師免許からニュージーランドの薬剤師免許へは、今でも自動変換できるんだそうです。マット君、有用な情報をありがとう!)

英国では、調剤された薬をファーマシーテクニシャンが最終監査できる資格 (Accredited Checking Technician, 通称 ACT) がある。マット君も当然、この免許を持っている。だから、私の職場では、昼休み、私とマット君と数人のアシスタントだけが調剤室に残り、後の全員が休憩に入るというパターンが多い。だから、マット君は、私の頼れる「助っ人」。

マット君、最近、約6年間付き合った彼女(=英国人薬剤師)とお別れしたそう。で、目下、新しいパートナーを募集中だそうです。

いずれは母国へ帰りたく「僕と一緒にニュージーランドで暮らせる人」 が第一条件のよう。ご興味のある方がいらっしゃったら、是非、紹介します。 

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次は、このブログでもお馴染みの、③カーティス君(写真下⬇︎)。英国人

私が勤務する病院の「元プレレジ(仮免許)薬剤師」で、去年の夏に免許取得後「新卒薬剤師」に昇格。だから年齢は、まだ20代前半!

カーティス君にとって、私は「怖い先輩」のはず。だってねえ、彼の仮免許(プレレジ)薬剤師時代、最初の病棟訓練を担当し、私、怒る、彼、赤面しうなだれる、ということ毎日だったからね(笑)

カーティス君のプレレジ(仮免許)研修時代のことについては、過去のこちら(⬇︎)のエントリもどうぞ

でもね、私にも身に覚えがあるのだけど「怖い先輩から学んだこと」の方が、後々まで記憶に残って、その後のキャリアで有り難かったりもするよね。

英国陸軍所属の薬剤師を目指しているので、来年にはもうこの場所にはいないと思うけど、将来どんな場所で働こうと、カーティス君の成長と成功を祈っている。

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カーティス君の写真は、これまでにもこのブログ内でたくさん掲載してきたので、今回は、遅番業務の責任薬剤師として、独り一心不乱に働く姿をパチリ

 

次は、④臨床ローテーション薬剤師のヴァシル君。

ルーマニア出身。私、英国国営医療サービス (NHS) でかれこれ 13-14年、本当にさまざまな国籍の人たちと働いてきたけれど、ルーマニア人薬剤師と出会ったのは、ヴァシル君が初めてでした。

母国の薬科大学を卒業後、すぐ英国に来て、この病院薬局が、薬剤師として人生初の仕事とのこと。EU 加盟国内の薬科大学のカリキュラムは互換性のあるものとされているため、私のように、英国内の限られた大学院で開講している海外薬剤師免許変換コース (Overseas Pharmacists' Assessment Programme, 通称 OSPAP) にも行かずに、英国の薬剤師になれた。でもこの優遇措置、今後、英国が EU から正式離脱したら、どうなるのだろう?

EU加盟国の薬剤師免許の互換性については、過去のこちら(⬇︎)のエントリもどうぞ

この写真では分かりづらいのですが、ヴァシル君は、黒髪に透き通るような水色の目を持ち、一見すると、狼のような顔立ちの人です。でも、笑うと、クマさんみたいに愛嬌があります。

現在、呼吸器系病棟を担当。3ヶ月毎にローテーションが変わる職種のため、ヴァシル君、来月には、もうこの病院からは(一旦)いなくなります。

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それから、⑤タヨ君(写真下⬇︎)。ナイジェリア人

タヨ君は、私の病院薬局の正局員ではなく「ローカム」という身分で働いています。ローカムとは、人材派遣会社に登録し、そこから仕事を紹介されて働く薬剤師のことを指します。薬局が人手不足の時に、短期的に雇うことが多いです。

「給与(時間給)が正規雇用者に比べて格段に高い」「フレキシブルな働き方ができる」といった利点があります。その一方で「病欠の場合は収入が全くなくなる」「時期によっては仕事にあぶれる」「税金・年金などは全て自分で払う」といった不安定さや煩雑さもあります。

自分には向かない働き方だと思っているので、私自身は、一度もやったことがありません。 

タヨ君には、現在、年度末で休暇を消化中であったり、突然の病欠になってしまったスタッフの穴埋めをする仕事をやってもらっています。だから、毎日担当する病棟が変わります。英国の薬局現場では、こういった人を「何でも屋 (Floater) 」と言います。通常、この役目は、シニア格の経験豊富な薬剤師に割り当てられます。

ちなみに日中正局員として働きながら、夜間や週末などに、いつもと違う薬局でアルバイトすることも「ローカム」と言えます。そんな働き方の一例は、前回のブログエントリのこちら(⬇︎)もどうぞ

ちなみに、タヨ君は、ナイジェリアの薬科大学を卒業後、1990年代の後半に英国へ来て、英国薬剤師免許への変換を行なったとのこと。

その頃、英国では、薬剤師の数が絶対的に不足していました。そのため、英国北部にあるサンダーランド大学というところで年に一度夏に行われていた「海外薬剤師免許変換試験」に合格さえすれば、外国人薬剤師でも比較的容易に、英国で薬剤師になれた時代でした。

しかも、大手チェーン薬局のブーツが人手を確保するため、外国人薬剤師向けに「英国免許取得後、我が社の薬局で3年ほど働いてくれるのであれば、免許変換に必要な経費を全て肩代わりします」といった条件の奨学金を出していました。タヨ君はこの制度を利用したとのことです。そしてその後、国営病院薬局へ転職。色々な経験を積んだ後、現在は「ローカム」一本で生計を立てています。

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以上、現在、私の身近にいる、職場の男性同僚たちの紹介でした。

 

ついでにおまけで、去年のバレンタインデーのエントリに登場した男性同僚たちの「今」も紹介。

ちょうど一年前の今日のエントリ(⬇︎)も合わせてご覧下さいませ

ジョナサン君は、シンガポールの大学病院の集中医療室専門薬剤師の職に応募し、見事合格。去年の5月頃、シンガポールで働く彼女と婚約し、英国を去った。結婚後はシンガポールに永久移住する予定だそうです。

シュラン君は、今年の秋から「医療倫理と法律」の学位を取得すべくフルタイムの大学院生となるため、先日、辞表を提出した。将来は、薬科大学での法曹分野の教員を目指すとのことです。

アドルフ君は、現在、ファーマシーテクニシャン見習い訓練の最終段階で、他の関連病院で研修中。

 

という訳で、私が現在勤務する病院薬局に、去年も今年も在籍した男性スタッフは、主任ファーマシーテクニシャンのマット君(写真上⬆︎)だけ。

英国の、特にロンドンの大学病院薬局は、本当に人の移り変わりが激しい。

そういう私も、今月末、約2年間の長きに渡った一般内科ローテションを終了し、この病院を離れる予定。

 

数年経って振り返り、彼ら一人一人と働いたことが、懐かしい思い出になっていることを願いつつ、今回のエントリを書いてみた。

 

それでは皆様も Happy Valentine's Day !

 

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職場の病院内のスーパーマーケットで売られていたバレンタインデー用の商品、ハート形のドーナッツ

 

では、また。